HSPと精神疾患って関係があるのかな?
そもそもHSPって病気なの?
HSPという概念は、精神医学の分野においていわゆる「病気」ではありません。
そのため、精神医学的な診断名にHSPという病名はないというのが現状です。
ただ、自分自身をHSPと感じられる人の中には、
うつ病・躁うつ病・パーソナリティ障害・発達障害といった精神疾患が隠れている場合があります。
「心が苦しい、辛い」という状態が続いている方、ずっと何となく社会生活や人間関係に違和感を感じつつ生きてこられた方の中には、もしかすると病気自体がHSPのような表れ方をしている方がいるかもしれません。
この記事では、
- 自分はHSPに当てはまると思うけど、うつ病や発達障害の可能性もあるのかな?
- 精神科や心療内科に行った方がいいのかな?
- どんな症状だと、うつ病や躁うつ病に当てはまるのかな?
と悩んでいる方に向けて、精神科医監修の「うつ病・躁うつ病・発達障害」チェックリストをご紹介します。
チェックリストの状態に当てはまって悩んでいる人は、一度、精神科や心療内科を受診してみてね!
監修:別府拓紀(精神科医)
精神科医として、大学病院、市中病院、企業の専属産業医などを経て、現在福岡県北九州市にあるスーパー救急病棟を擁する精神科病院で地域の精神科医療に従事している。その傍ら、記事執筆、産業医活動など。資格は精神保健指定医、精神科専門医・指導医、老年精神医学会専門医・指導医、認知症サポート医、臨床精神神経薬理学専門医、公認心理師、日本スポーツ協会公認スポーツドクター、メンタルヘルス運動指導士、健康スポーツ医、産業医など多数。
うつ病チェックリスト
※すべての項目について、「ほとんど毎日、2週間以上続く」場合はチェックしてください。
1.まずはこちらに該当する場合はチェックをしてください。
□気分が憂鬱だ、何となく気分が晴れない |
□今まで楽しかったことが楽しくなくなった |
□疲れやすくなった |
2.上にチェックが2つ以上入った方は、以下に進み該当する場合はチェックしてください。
□集中できない、ミスが増えた |
□自分に自信が持てない |
□自分は価値のない人間と思う |
□未来がないと思う |
□自分を傷つけてしまう、死んでしまいたいと思う |
□眠れない、または眠すぎる |
□食欲が落ちた、体重が減った |
1.に2つ以上、かつ2.に2つ以上のチェックが入った場合は、うつ病の可能性があります。
医師の受診をお勧めします。
<参考文献>
・医学書院 ICD-10 精神および行動の障害 臨床記述と診断ガイドライン
双極症チェックリスト
1. 「いつもの自分とは違う」という時期における出来事についてお答えください。
□他人から見ていつもの自分とは違うと思われてしまうほど、またはトラブルに巻き込まれてしまうほど気分が良かったことがあった |
□人に怒鳴ったり、喧嘩や口論をしたりするほどイライラしていたことがあった。 |
□自分に自信がいつもより持つことがあった |
□いつもより睡眠時間がかなり少なくても困らなかった |
□いつもより多弁、早口になった |
□考えが頭の中をぐるぐると周り、心が落ち着かなかった |
□周りのことに気を取られやすくなり、集中して持続的に取り組んだりするのが困難だった |
□エネルギーに満ち足りていた |
□いつもよりずっと活動的となり実際多くの活動を行った |
□いつもよりずっと社交的、外交的だった(夜中に友人に電話をかけるなど) |
□性欲が亢進した |
□他の人から見て「やり過ぎ」「危険」と思われるようなことをした |
□身の丈に合わない浪費で自分や自分の家族を困らせた |
2. (上の1. で1つ以上チェックが入った方へ)以下に該当する場合はチェックしてください。
□これらの症状が同じ期間の間に同時に起こった |
3. 上記での困りごとはどの程度でしたか。
例えば、仕事に支障があった、家族関係に問題があった、お金で困った、法律のトラブルがあった、口論や喧嘩をしてしまった、等。
該当する部分に1つチェックをして下さい。
□問題なし |
□軽微な問題 |
□中等度の問題 |
□深刻な問題 |
1.の13項目のうち7項目、2.にチェック、3.が中等度あるいは深刻の場合は、双極症の可能性があります。
<参考文献>
・Hirschfeld RM et al., Develepment and validation of a screening instrument for bipolar spectrum disorder: the Mood Disorder Questionnaire. Am J Psychiatry 157: 1873-1875, 2000
・稲田俊也ら: ヤング躁病評価尺度日本語版(YMRS-J)による躁病の臨床評価. じほう: 33, 2005
発達障害チェックリスト
※すべての項目について、生まれてから今までずっと続いている場合はチェックしてください。
□他の人と話している時に、他の人が感じていることを理解するのは難しい |
□他の人が気にしないような普通の感触のものが肌に触れると、とても不快になることがある |
□集団で働いたり、活動したりすることはとても難しい |
□他の人が自分に期待したり、望んでいることを理解したりするのは難しい |
□社交的な場面で、どのように振る舞えばよいのかわからないことがよくある |
□他の人と雑談やおしゃべりをすることができる |
□自分の感覚に圧倒されてしまう時は、落ち着くために一人になる必要がある |
□どのように友達を作るのか、人と社交的に付き合うのかは、自分にとって謎である |
□誰かと話をしている時に、自分が話をする番なのか、話を聞く番なのかがわからないことが多い |
□煩わしい音(掃除機の音、人の大声や過度なおしゃべりなど)をさえぎるため、両耳をふさがないといけないことが時々ある |
□他の人と話をしている時に、相手の表情を読んだり、手や体の仕草の意味を理解したりすることが、とても難しいことがある |
□全体像よりも細部に注目する |
□言葉通りに受け取りすぎて、他の人が意図していることに気がつかないことが多い |
□突然、(物事が)自分の思い通りのやり方でなくなると、非常に動揺してしまう |
「
「□他の人と雑談やおしゃべりをすることができる」にチェックがある場合はそれ以外の5つ以上、チェックがついた場合は発達障害、とくに自閉症スペクトラム障害の可能性があります。
医師の受診をお勧めします。
<参考文献>
・Jonna M Eriksson et al., RAADS-14 Screen: validity of a screening tool for autism spectrum disorder in an adult psychiatric population. Mol Autism 4: 4-49, 2013
・岩波明 うつと発達障害 青春出版社 2019
まとめ
実際にチェックをしてみて、いかがだったでしょうか。
冒頭でもお話ししたように、「自分はHSPだ」と感じている人の中には、うつ病・躁うつ病・パーソナリティ障害・発達障害といった精神疾患が隠れている場合があります。
「チェックリストの状態に当てはまった」「つらくて悩んでいる」方は、一度、精神科や心療内科を受診してみてくださいね。
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