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子供のHSP「HSC」の特徴とは?具体的な接し方も解説

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チルティ

うちの子はどうやらHSCらしい。けどHSCって何だろう?

記事を読みに来てくださったあなたは、こう悩んでいますよね。

そして、お子さんの特性を深く理解し、子育てに活かしたいと思っているでしょう。

この記事では専門家の情報を交えながら、HSCについて解説します。

HSC:Highly Sensitive Childの略。ひといちばい敏感な子供のこと。

この記事で分かること

  • HSCとは
  • HSCの特徴
  • HSCとその親が抱える悩み
  • HSCへの接し方

実際に筆者もHSCの高校生です。

筆者の経験から「○○のときは□□と感じている」「△△を親にしてもらえて嬉しかった」などの具体的なお話も紹介します。

モヤモヤを解消する手がかりが、きっと見つかりますよ。

HSCは、環境や接し方次第で、お子さんの個性を大きく伸ばせる素敵な気質です。

ライター:ユキハ

この記事でHSCへの理解を深め、子育てにお役立てくださいね。

目次

HSCって何?HSPと何が違うの?

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「そもそもHSCって何?」
「聞いたことはあるけれど知らない」

という方へ向け、HSCとは何かを紹介します。

HSCは「ひといちばい敏感な子」のこと

HSCとは、感受性が豊かで敏感な特性を持つ子供のことです。

HSCはHighly Sensitive Childの略で、訳すと「ひといちばい敏感な子」となります。

明確な基準はなく、環境感受性の高い約30%の子供をHSCと呼びます。

環境感受性とは

環境感受性は「ポジティブおよびネガティブな環境に対する処理や知覚の個人差」として定義される概念です。

飯村周平.「環境感受性とは?」.Japan Sensitivity Research.
https://www.japansensitivityresearch.com/about-sensitivity,(参照 2023-04-22).

HSPなら知っている方もいるでしょう。こちらはHighly Sensitive Person、「ひといちばい敏感な人」のことです。

HSPとHSCの違いは、大人か子どもか。年齢の違いだけなんですね。

HSPもHSCも、アメリカの心理学者であるエレイン・N・アーロン博士が提唱した心理学用語です。

病気ではないので、治すものではありません。

しかし、発達障害などの病気が原因でHSPっぽい特徴が表れているときもあります。HSCと病気を併せ持つ場合もあります。

「うちの子はHSCで病気じゃない」と断定するのは避けましょう。

ユキハ

代わりに、環境を整えるなどでHSCの特性を活かすことは可能です。安心してくださいね。

HSCは、ひといちばい敏感な子供のこと。

HSCにも当てはまる4つの特徴「DOES」

アーロン博士によると、HSPなら誰もが「DOES」と呼ばれる4つの特徴を持っているそうです。

DOES

  • Depth of Processing
  • Over Stimulation
  • Emotional Responsiveness & Empathy
  • Sensitive to Subtleties

詳しく紹介していきます。

Depth of Processing

DOESのDは「Depth of Processing」です。訳すなら「処理能力の深さ」でしょうか。

様々な情報を細部まで受け取り考えるのですね。

これを子供に置き換えて具体的にすると、下記のようになります。

具体例

  • 安全かどうかをよく考えてから行動する
  • 何事も手を抜かずに取り組む
  • 深く考え、大人びた言葉遣いをする

Over Stimulation

DOESのOは「Over Stimulation」です。訳すと「刺激に敏感」ですね。

五感などから得られる刺激に強く反応します。

具体例

  • 蛍光灯の強い室内に入りたがらない
  • 騒がしい場所に行くと泣き出してしまう
  • 肌触りの悪い服やタオルを嫌がる

Emotional Responsiveness & Empathy

DOESのEは「Emotional Responsiveness & Empathy」です。訳すと「感情に反応し共感する」になります。

人やものが感じている(感じていそう)な思いを察知して同じ気持ちになりやすいのですね。

具体例

  • 絵本や音楽によく感動する
  • 親が喜んでいると、とても嬉しそうな顔をする
  • 機嫌の悪い人がいると怯えてしまう

Sensitive to Subtleties

DOESのSは「Sensitive to Subtleties」です。訳すとしたら「些細なことに敏感に反応する」になります。

ちょっとした変化に気づいたり、細かいところまで気にしたりします。

具体例

  • 家具の配置が変わるとすぐ気づく
  • 表情の細かな違いを察知する
  • 小さな音が気になって眠れない

全てのHSCが内向的とは限らない

HSCは内向的で物静かな子ばかりだと思われがちですが、そうではありません。

HSPには、HSS型HSPやHSEと呼ばれる人たちがいますよね。

HSS型HSP:刺激追求型HSP。刺激を求めるHSPのこと。
HSE:外向型HSP。人との関わりをを求めるHSPのこと。

HSS型HSPやHSEは、科学的に立証された言葉ではありません。しかし、HSPの話題としてよく挙がる言葉なので例として載せています。

刺激を追求する子や外向的な子がいるのは、HSCも同じです。

下記のようなHSCは、HSS型HSPやHSEの特徴があると言えるかもしれません。

具体例

  • 遊びに行きたがるのに、帰宅するとぐったりする
  • 「あれ何?」「これ何?」と様々なものに興味を持つ
  • たくさん話すときも、物思いにふけっているようなときもある

刺激を追求するHSC、外向的なHSCもいる。

チルティ

「うちの子はわんぱくだからHSCじゃない」と決めつけるのはよくないんだね。

HSCの特徴を具体例つきで紹介

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この章ではHSCの特徴を紹介します。

HSCの特徴に関する研究はあまり無いため、「HSPはこのような個性と相関がある」という内容を子供向けにして書いています。

当てはまるかどうかや程度は人それぞれですので、決めつけはせず、「うちの子はどうか」という視点で読んでくださいね。

感受性が豊か

HSCは感受性が豊かで、様々なものに共感することが多くあります。

作品に深く共感する

例えばHSCは、美術作品や音楽に共感して聴き入ります。

絵本などの登場人物に共感し、その世界に入ったかのように物語を楽しむこともあります。

周りの人の感情を受け取る

態度や表情、声のトーンなどから周りの人の感情を察知し、同じ気持ちを感じることも。

具体例

  • お友達が逆上がりに成功し、それをお友達と同じくらい喜ぶ
  • 怒られている人や機嫌の悪い人がいるとつらくなる
  • 親が悩んでいるとすぐ気づき、心配そうに声を掛ける
  • 周りの目があったり管理されていたりすると、実力を発揮できない

周りのものの感情を受け取る

作品や人に対してのみならず、ものにも感情移入するHSCは多いと思います。

具体例

  • 落としてしまったものに対して「痛かったね、ごめんね」と撫でてあげる
  • ぬいぐるみと家族のように接する(一緒にご飯を食べるなど)
  • 空を見て「今日は晴れてて空さんニコニコしてる」と嬉しそうに話す

五感が鋭い

HSCは五感から得る刺激に敏感な子が多い印象です。

肌ざわりに敏感

1つ目は触覚です。

具体例

  • もふもふのクッションがお気に入りでよく抱きしめている
  • 服のタグが肌に当たるのを気にする
  • 服が濡れたり汚れたりすると着替えたがる
  • ごわごわなタオルを嫌がる

音に敏感

2つ目は聴覚です。

具体例

  • 音の出るおもちゃをものすごく警戒する
  • 遠くの踏切の音や鳥の鳴き声に反応する
  • 工事現場の近くの道は耳をふさいで通りたがらない
  • 夜に少しでも物音がすると目を覚ます

視覚が敏感

3つ目は視覚です。

具体例

  • ごちゃごちゃした場所が苦手
  • 真夏の日光が苦手
  • 画面の強い光を長時間見ていられない

においに敏感

4つ目は嗅覚です。

具体例

  • 作っている料理をにおいでよく当てる
  • 香り付きの消臭剤や柔軟剤が苦手
  • 新車のにおいが苦手で買い換えた車に乗りたがらない

味に敏感

5つ目は味覚です。

具体例

  • 好き嫌いが激しい
  • 同じ料理でも、使った調味料・作り手・作り方によって好き嫌いがある
  • カフェインに敏感に反応する

カフェインとの付き合い方をまとめた記事もありますので、気になる方は読んでみてくださいね。

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多くの刺激を受け取る

感受性が豊かなHSCは、日々多くの刺激を受け取っているのではないでしょうか。

情報が多いと疲れやすい

HSCではない子供よりも普段から受け取る情報が多い傾向にあるHSC。

更に情報が増えると、情報過多になって疲れてしまいやすいと思います。

具体例

  • することが多いとこんがらがる
  • 人混みや騒がしい場所から離れたがる
  • 旅行やイベントの後はぐったりしている

痛みに敏感

自分の痛みにも他の誰かの痛みにも敏感なHSCは多い印象があります。

具体例

  • 頭痛や腹痛を事細かに伝えてくれる
  • お友達がケガをすると、同じ場所を一緒に痛がる
  • 刑事ドラマの被害者の痛みを想像して苦しくなる

驚きやすい

ちょっとしたことで驚くHSCもいるのではないでしょうか。

具体例

  • サプライズは驚きや戸惑いが強く、あまり喜ばない
  • 後ろから声を掛けるとビクッとする
  • 雷の急な音や光に過剰に反応する

周りの変化に敏感

周りの変化に敏感なHSCもいます。

環境の変化が苦手

周りの環境が変わると戸惑い、慣れるまでに時間がかかるHSCも多いのではないでしょうか。

具体例

  • 引っ越し後は家でふさぎ込んでしまう
  • クラス替えで不安そうにしている
  • 知らない場所に出かけたとき、怯えたような表情をしている

身の回りの小さな変化に気づく

また、身の回りの小さな変化にも気づきやすいです。

「家の花壇で育てている花がもうすぐ咲きそう」
「洗濯機の音がいつもと違う気がする」

などの変化にいち早く気づきます。

相手の小さな変化に気づく

ものの変化だけでなく、人の変化に気づくこともあります。

具体例

  • 「新しい服を着ている」「髪型が変わった」などの変化に気づく
  • 表情や目線、声のトーンの変化に気づいて相手の感情を察知する
ユキハ

友達の悩みに気づけたり、「相手は私を好きじゃなさそう」と感づいてしまったり。いい面もそうでない面もありますね。

深く考える

ものごとを深く考えることの多いHSCもいます。

豊かな想像力がある

HSCには、内面に目を向けて考えることが好きな子も。

じっくり考えたいので、静かで少人数の遊びを好むときも多いのではないでしょうか。

具体例

  • 絵本を読んで「続きがあったら」「自分がこの世界に入ったら」と想像する
  • おままごとをするとき、それぞれの人がどんな生活をしているかまで考える
  • 自分や社会の未来がどうなっているか、考えを膨らませる

大人びた言動をする

多くの刺激を受け取って深く考えるからか、大人びた言動をするHSCは多い印象です。

具体例

  • 年齢よりも難しい言葉を使う
  • 物事の本質を突く、哲学的な質問をする

周りの人の考えを察知する

HSCは、受け取った情報を自分の中に取り込み、相手の気持ちをよく考えることもあります。

具体例

  • 家族の行動を先読みし、邪魔にならないように移動する
  • 誰かが寒そうにしていると、そっと暖房を付ける
  • プレゼントをするとき、相手が喜ぶものをピッタリ選べる

考えてから行動する

目的やリスクをしっかり考えた上で行動するHSCもいます。

具体例

  • 新しいことを始めるまでに時間がかかる
  • いろいろ考えて不安になり、選択や行動がすぐにできない
  • 考えても納得できないような理不尽な言動を嫌う
ユキハ

私は自分の行動に意味を持たせたいので、目的がわからないまま指示に従うのも苦手です。

慎重に丁寧に取り組む

行動を始めるときだけでなく、物事に取り組んでいる間も慎重に丁寧に進めがちなHSC。

具体例

  • 宿題で手を抜かず、言われた通りにこなす
  • 失敗しないように、ひとつひとつ確認しながら進める
  • 少しでもミスがあると放っておけずにやり直す

丁寧に取り組みたいので、集団生活を苦痛に感じる場合も…。

チルティ

周りにペースを合わせなきゃいけないもんね。

完璧主義

HSCは完璧主義な人が多いと言われます。筆者も完璧主義な部分があります。

誰も傷つけないように行動する

HSCは多くの情報を受け取って深く考える傾向にあります。

そのため、誰も傷つけないように行動する、真面目なHSCも多いです。

具体例

  • 誰に対しても優しく丁寧に接する
  • 作業をするときは「誰かが困るかもしれない」と手を抜かない
  • 親が困る行動はしない
  • 成績が悪くならないように勉強を頑張る

間違いや失敗を強く恐れる

間違いや失敗を恐れるHSCも多い印象にあります。

具体例

  • 忘れ物がないように何度も持ち物をチェックする
  • 宿題やテストで×がつくとひどく落ち込む
  • 失敗すると泣きながら伝えてくる

怒られることを嫌う

間違いや失敗をして怒られるのも、HSCは苦痛に感じやすいです。

泣き出してしまうこともあります。

ユキハ

また共感しすぎるからか、誰かが傷ついているのを見るのも苦手です。

HSCが抱えやすい悩み

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「HSC(HSP)は生きづらい」と聞いたことがある方もいると思います。

HSCは環境感受性が高い人を指す言葉で、ひとつの気質です。

ポジティブなものでもネガティブなものでもありません。

なので「HSC=生きづらい」は間違いです。

とは言っても、刺激を受けやすいHSCは、現代社会で生きづらさを感じやすいと言えるでしょう。

HSCは気質なので、「HSC=生きづらい」は間違い。でも、生きづらさを感じていることもある。

理由を詳しく説明します。

理解が難しい

知らない人が多い

HSCを提唱したエレイン・アーロン博士が『The Highly Sensitive Child』を出版したのは2012年です。

明橋大二さんの翻訳によりこの本が日本で『ひといちばい敏感な子』として出版されたのが、それから3年後の2015年になります。

※2021年には改訂、加筆された『ひといちばい敏感な子』が出版されました。

HSCが日本で広まったのは、ここ数年の出来事なのです。

そのため、HSCをよく知らない方も多くいます

子供がHSCだと伝えても、すぐに理解を得られるとは限りません。

HSCではない人には難しい感覚

HSCの感覚は、HSCではない人が完全に理解するのは難しいでしょう。

「どういうこと?」
「考えすぎだよ」
「普通そんな風に思わないよ」

と軽くあしらわれることも…。

その結果HSCは

「真剣に悩んでいるのに」
「自分の感覚って変なの?」

と悩んでしまうのです。

自分すらわからないこともある

小さい頃は、まだ感情をうまく表現できません。

チルティ

お母さんにうまく伝えられない。これじゃ気づいてもらえないよ…

こうなると、もともとの悩みに加えて「わかってもらえない」という悩みが追加されてしまいます。

成長してからも、

「周りの人と違うのかも?」
「自分のこの感覚って何?」

と悩んだりします。

ユキハ

また深く考えることの多いHSCは、いくつもの悩みが複雑に絡み合って自分の気持ちがわからなくなることもあります。

多くの刺激で傷つきやすい

着ている服、部屋の明かり、日常生活の音、周りの人の表情や話している内容、食べたことのない料理…。

HSCにとっての刺激はあらゆる場所にあります。

ネガティブな刺激で傷つくのはもちろん、ポジティブなものでも多いと圧倒されて疲れてしまいます

自分を出せない

周りの人の考えを無意識に感じ取りがちなHSC。

やりたいことを抑えて、周りの人を優先するときも少なくありません

それで「本当は○○をしたいんだけどなぁ」とモヤモヤを抱えてしまいます。

ユキハ

このモヤモヤが増えると、やりたいことがわからなくなることも…

疲れを取る時間が足りない

HSCはこれまでに紹介した理由で疲れやすいと言えるでしょう。

疲れを取るためには休息が大切ですが、休む時間が足りないことも多いです。

学校には1人で休める場所がなかったり、忙しくて寝る時間が短かったり。

取りきれなかった疲れがどんどん溜まり、慢性的に疲れている場合もあります。

HSCの子供を持つ親が抱えやすい悩み

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悩みを抱えているのはHSCだけではありません。親御さんにもいろいろな悩みがありますよね。

自分を責めてしまう

チルティ

例えば、「子供がHSCなのは自分の育て方のせいかもしれない」と自分を責めていませんか?

あなたはこの記事にたどり着くくらいお子さんのことを真剣に考えているのですから、大丈夫です。

ご自身の子育てに自信を持ってくださいね。

周りの理解が得られない

「HSCが抱えやすい悩み」の章でも書いたように、HSCをよく知らない方もいます

周りから

「親の育て方が影響している」
「子供の甘えが理由じゃないの?」

と言われてしまうときもあるでしょう。

ユキハ

パートナーや学校からの理解が得られないと、余計につらいですよね…

親であるあなたもHSPかも?

心理学者の飯村周平さんのサイト「Japan Sensitivity Research」によると、感受性の高さは、約半分が遺伝によるものだと言われています。

※もう半分は環境によるものだそうです。

親であるあなたがHSPの可能性もあります。

チルティ

HSPも感受性が豊かなので、刺激を受けすぎて疲れやすかったり、子供のネガティブにつられて悲しくなったり…

同じ特性によってつらくなってしまうこともあります。

子供の感覚がわからない

先ほど「親がHSPの場合もある」とお伝えしました。ということは、親がHSPではない場合もあるのですね。

同じHSP(HSC)同士でも感受性の高さは様々で、相手の感覚がわからないことも多くあります。

それがHSP(HSC)とそうでない人になると、相手の感覚を理解するのはより難しくなるでしょう

HSPではない親御さんが

「子供の感覚をわかってあげられない…」
「この子の親なのにどうして…」

と悩んでしまうのも無理はありません。

HSCの個性を伸ばせる親の接し方

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ここからはHSCの子育てで意識するポイントを紹介します。

敏感な子どもの気質を理解し、一人ひとりに応じた環境を生み出すことが敏感性の高い子どもの育ちを支援するカギとなる。

山本佳代子(2022).「敏感性の高い子どもの育ちへの支援」『西南学院大学 人間科学論集』17巻,2号,p223.

この論文にあるように、HSCに合う環境での子育てが重要だと言えるでしょう。

この章の内容は論文等の記述を参考にしてはいますが、体験談が中心となります。合う方法は様々ですので、参考程度にとどめておいてくださいね。

お子さんのことを理解しよう

まずは、親御さんがお子さんを理解してあげることが重要なのだそうです。

子どもの気質を理解することは育児において重要な視点であることが理解できる。

山本佳代子(2022).「敏感性の高い子どもの育ちへの支援」『西南学院大学 人間科学論集』17巻,2号,p215.
ユキハ

HSCである私の視点でも、親に受け止めてもらえると安心できるので納得です。

HSCへの理解を深めよう

まずはHSCへの理解を深めましょう。

HSCの子供からすると、親に理解してもらえるのはとても嬉しいです。

完全に理解してもらえなくても、「理解しようとしてくれている」とわかるだけでも十分です。

筆者の場合は、HSPを知ったタイミングで親に「私HSPかもしれない」と伝えました。

親はHSPを知らずその場では「そっか」という反応で終わったのですが、後日棚にHSPの本が追加されているのを発見。

ユキハ

私のことを理解しようとしてくれているんだ。

そう知れただけで心がぽっと温かくなったのを覚えています。

チルティ

最初は「わかろうとする」ところからでいいんだね!

お子さんのことを理解して受け止めよう

HSCの理解を深めることは大切ですが、HSCはお子さんの一側面を表す言葉にすぎません。

お子さんをまっすぐ見て理解し、ちゃんと受け止めてあげるほうがより重要と言えるでしょう。

「そもそも自分の感覚がうまく表現できない」とか、
「自分の感覚って変じゃないかな?」とか、

HSCは悩んでいたりします。

そんなときに信頼できる親から

  • 「わかるよ。○○って感じがするんだよね。」
  • 「そっか。悲しかったね。」
  • 「お母さんも前○○って経験があってね…」
  • 「だいじょうぶ。その考え方はとっても素敵だよ。」

と声をかけてもらえると、経験上悩みが軽くなることも多いです。

ユキハ

親に受け止めてもらうだけで、すごく安心できるんですよね。

チルティ

わかる!両親の言葉は大きな力を持っているように感じるよね。

刺激を減らす環境づくりを

Japan Sensitivity Research」を運用する心理学者の飯村周平さんによると、HSPは「良い環境と悪い環境から、良くも悪くも影響を受けやすい人」だそうです。

環境から受ける影響が大きいので、子供の頃から環境を整えていけば、HSCの特性を活かしてあげられそうですね。

安心できる環境を作ってあげよう

刺激を受けすぎて疲れないように、安心できる環境を作ることが大切でしょう。

例えば下記のように。

具体例

  • 長時間いるスペース(リビングや自室、ベッド)の周辺にあるものを隠す
  • 音の鳴るもの(時計、エアコン)を遠ざけたり音の小さいものに換えたりする
  • 肌触りのいい服、タオル、布団を使う
  • テレビをつけっぱなしにしない
ユキハ

特にテレビは、情報番組で流れる悲しいニュースにつらくなったり、バラエティ番組のノリに気力を奪われたりして疲れやすいです。

生活の変化は避ける

HSCにとって、生活の変化は大きな刺激になり得ます。

具体例

  • 引っ越しは本当に必要なとき以外避ける
  • 旅行に頻繁に行かない
  • 毎日の生活習慣をできる限り変えない
ユキハ

変化があるときは早めに知れると、心の準備ができるのでありがたいですね。

「突然の出来事」を減らそう

筆者もそうなのですが、「心の準備ができているか」でパフォーマンスが大きく変わるHSCは多いと思います。

なので親御さんが「これから起こる出来事を伝える」と意識すると、HSCは安心できるでしょう。

声掛けの具体例

  • 「○○が終わったら□□をしようね」
  • 「○時~□時の間に宅配便の人が来るよ」
  • 「今日は○○と□□でお買い物をするからね」

休む時間を意識して取ろう

小さな刺激も敏感に感じ取ってしまい,周囲の様々な刺激が気になるが情報処理に追いつかずに疲弊してしまうHSP

岩川祐依(2022年).「日本における感覚の感受性に関する研究の動向 ──感覚処理感受性,及び Highly Sensitive Person の研究を中心に──」『甲南女子大学大学院論集』20号,p22.

HSCは感受性の高さで些細な刺激も感じ取り、疲弊してしまうそうです。

そうなると、疲れた心身を休ませる時間が必要ですよね。

予定を詰め込み過ぎない

予定が詰まっていると疲れてしまうHSCは多いと思います。

筆者もその一人で、「何時からこれ、何時からこれをする」といった細かい予定は立てられません。

自由時間などの余白がないと、窮屈に感じてしまいます。

ユキハ

「人の多い場所に行った後」「長時間の外出の後」は特に疲れているので、予定があると余計疲れてしまいます。

睡眠時間を長めに取る

チルティ

HSPで疲れやすいからか、寝る時間が多く必要なんだよね。

ユキハ

わかるよ。私は少なくとも8時間寝ないと疲れが取れないんだよね。できれば9~10時間寝たいくらい。

HSCのお子さんには、ちゃんと疲れが取れるように寝る時間を長く取ってあげてください

思春期,青年期において,充分な睡眠の確保はこの時期の精神は発達の観点からも,また,教育の観点からも重要であるといえる.

池田真紀 兼板佳孝(2015).「睡眠と健康:思春期から青年期」『保健医療科学 特集:睡眠と健康―ライフステージとライフスタイル―』Vol.64,No.1,p11.

この論文にもあるように、子供の頃の睡眠はとても大切です。

お子さんが疲れていそうだったら、しっかり寝かせてあげてくださいね。

一人になれる空間を作る

HSCの筆者は、家族からも多少ですが刺激を受けます。

完全に一人になって落ち着く時間も必要です。

長時間目を離しても安心な年齢になってからで大丈夫ですので、一人の空間を作ってあげると落ち着けるようになりますよ。

チルティ

スペース的にひとり部屋が難しいときは、家具で仕切りを作るだけでもOK!

お子さんの自主性を大切に

酒井厚さんの「心配し過ぎる親の子はどう育つか」という論文によると、親が過保護だと、子供は自分の能力に自信を持ちにくくなるそうです。

HSCに限った話ではありませんが、子供の自主性を信じることも大切なのですね。

やりたいことをさせてあげて

「子供の自主性が大事」という話で、思い出した出来事があります。

筆者が幼稚園生の頃、字の練習をしていたときのことです。

字の練習してるの?偉いね

幼い私

できた!見てみてー

上手だね!そうだこの字、お母さんも書いてみるね

お母さんの字と○○(私)の字、比べてみてどうかな?

幼い私

あ、ここちょっと違う

そうだね、そこちょっと違うかも

幼い私

書き直した!

とってもよくなったね!

母とこのようなやりとりをしました。

普段は間違いを指摘されるとすごく落ち込むのですが、このときはむしろ楽しめていました。

自分で間違いに気づいて直したので、「間違えた」より「成長できた」という印象が強く残ったのだと思います。

子供にはこのような「自分でできた」という成功体験が大切なのかもしれません。

ユキハ

他にも成功体験になるのは、「自分で選べた」「自分がやりたいことをやれた」「自分で考えた」出来事でしょうか。

チルティ

「自分で」がキーワードだね!

しかし、何の情報も無しに成功体験を積むことは難しいでしょう。

なので親御さんにはぜひ、お子さんが成功できるようにそっと声掛けをしてあげてほしいなと思います。

ユキハ

また失敗したときは、「失敗しても大丈夫」と声を掛けてもらえたり、過程を褒めてもらえたりすると傷になりにくいです。

チルティ

一緒に解決策を考えて、次に挑戦するときの不安をなくすのもいいかもね。

お子さんのペースを信じよう

HSCは深く考えてから行動したい子が多く、何事にも時間がかかりがちです。

親御さんとしては

「うちの子、成長遅いのかな?大丈夫かな…」

と心配になるでしょう。

本当に成長が遅いようなら病院で診てもらうべきです。

しかし、行動がゆっくりなだけであれば見守ってあげてください

ユキハ

急かされると緊張して失敗しやすく、落ち込んでしまいます…

チルティ

「ゆっくりでいいからね」「頑張ってて偉い!」みたいに、安心できるような声掛けが大事だね。

安心感を与える言動を意識しよう

Highly Sensitive Person Scaleの高い(上位25%)女性(平均 19 歳)は、児童期の親との関係(quality of childhood parenting)が良いほど、ポジティブな表情(International Affective Picture System)を見たときに腹側被蓋野(ventral tegmental area)や島皮質(insula)が活性化していた。

串崎真志(2018).「高い敏感性をもつ子ども (Highly SensitiveChild) の理解 : 自閉症・高敏感者・エンパス・不登校」『関西大学人権問題研究室紀要』76巻,p38.

女性だけの研究結果にはなりますが、HSPは、小さい頃の親子関係が良好だとポジティブな感情を受けやすくなるそう。

小さい頃の親とのコミュニケーションが大事なようです。

感受性の豊かさを、人の気持ちに対しても発揮しがちなHSC。

ユキハ

親がどう感じているのか、自分は親に愛されているのかがすごく気になるんですよね。

筆者の場合は、親の足音から不機嫌そうなのを察知し「何か悲しませるようなことをしちゃったかも…」と不安になったり。

なので、愛情をはっきり言葉にしてもらえたり、背中をさすってもらえたりするとすごく安心できます

親に喜んでもらえるのは何よりの喜びになりますし、「自分はここに居場所があるんだ」と思えてまた頑張れるようにもなります。

たくさん褒めることが大切

チルティ

ネガティブな刺激も強く受け取るからか、怒られるのはすごく苦手なんだよね。

ユキハ

わかるよ。でもそのぶんポジティブな刺激も強く受け取って、褒められるとすごく嬉しくなるよね。

チルティ

確かに!褒められると、その後も長く幸せな気持ちが続くよ。

HSCは褒められて伸びるタイプが多いのではないかと思います。

ただし、励ますような言葉は逆効果な場合も。

筆者の場合は、励ましの言葉を「もっと頑張らなきゃ」とプレッシャーに感じることがあります。

相手の気持ちを汲んで無理に応えようとしちゃうんですよね。

褒め言葉は使ってほしいですが、プレッシャーにならない程度に抑えるのが理想です。

ユキハ

挑戦したこと自体や頑張った過程を褒めると、プレッシャーになりにくいでしょう。

親自身も人生を楽しもう!

低年齢は特に家族関係が健全に機能しているかどうかという家族システムの観点から考えることの重要性が示唆された。

高橋靖子 野々部友香(2018)「母親の養育態度と乳児期の気質が幼児の不安傾向に及ぼす影響:家庭の雰囲気を媒介要因として」『Bulletin of Aichi Univ. of Education』67-1,p173.

家庭の雰囲気が良好かどうかも、子供に影響を与えるそう。

チルティ

親も楽しく生きることが大切なんだね!

あなたも周りを頼って大丈夫

家庭の雰囲気がピリピリしていると、お子さんも親御さんもストレスが溜まってしまうと思います。

具体例

  • パートナーと話して改善策を考える
  • 忙しいときは家事をサービス業者や機械に頼む
  • 家庭と職場以外の居場所や話し相手を見つけておく

ストレスを溜めないようにして、家族関係を良好に保つことを心がけてみてくださいね。

ユキハ

私もそうなのですが、HSCはつい頑張りすぎる傾向にあります。親の頼る姿を見習って「大変なときは頼っていいんだ」と思えるようにもなりますよ。

また具体例3つ目の「居場所や話し相手を見つける」も大切だそうです。

こちらの論文に記載があります。

家庭外のサポートの重要性についても検討されてきたが,子育てについて話し合える人や交流の場所があること,また育児について相談できる専門家のサポートが存在することはストレス緩和に非常に有効

渡辺弥生 石井睦子(2010)「乳幼児をもつ母親の育児ストレスにソーシャル・サポートおよび自己効力感が及ぼす影響について」『法政大学文学部 法政大学文学部紀要』60号,p134.

このブログを運営している株式会社Tealsには、Tealsホームというコミュニティがあります。

コミュニティにはたくさんのサークルがあり、同じ趣味や目標を持つ仲間たちと日々楽しく交流しています。

その中のひとつが、こども部。

子育てに奮闘中のママ・パパや保育関係の仕事に就いている方などが参加しています。

HSCの子供を持つ親御さん、自身がHSPの親御さんは、子育てで共感し合える相手を周りで見つけにくいかと思います。

ユキハ

こども部なら、子育てをする上での「楽しい」も「大変」も、自由に共有し合えますよ。

チルティ

Tealsホームのこども部に、ぜひ遊びに来てくださいね♪

生きることを楽しもう

これまでにもお伝えしたようにHSCは感受性が豊かなので、ポジティブな刺激も強く受け取ります。

HSCの私は、親が楽しそうにしているだけでそれに引っ張られて笑顔になれます。

たまに弱さが垣間見えるぶんには全く問題ないのですが、基本的に子供の前では穏やかで楽しそうな親でいてくれると安心できます

チルティ

無理なく笑顔でいるためにも、前の章で紹介した「頼る」が大事なんだね。

HSCの親御さんにオススメの本

hsc-books

ここまでの内容を読んで

「HSCについてもっと詳しく知りたい」
「HSCの子育ての情報を集めたい」

と思った方もいると思います。

そんな方は、HSCの本を読んでみてください。より詳しい内容を知ることができますよ。

ひといちばい敏感な子

1冊目は『ひといちばい敏感な子』です。HSCを提唱したアーロン博士が書いた『Highly Sensitive Child』の翻訳本ですね。

翻訳本なので難しめですが、アーロン博士が研究結果をもとに解説してくださっています。

より正確な情報を得たい方にはぜひオススメしたい1冊です。

ひといちばい敏感な親たち

2冊目は『ひといちばい敏感な親たち』です。こちらもアーロン博士の著書『The Highly Sensitive Parent』の翻訳本となっています。

こちらはHSCというよりも、HSPの親御さん向けの内容です。

子育てに奮闘中のHSPさんはこちらも読んでみてくださいね。

HSCの子育てハッピーアドバイス

3冊目は『HSCの子育てハッピーアドバイス』です。

先ほど紹介した『ひといちばい敏感な子』を書いた、精神科医の明橋大二さんの本となっています。

HSCの子育てについて、HSPではない方にもわかりやすく書かれています

特に自分やパートナーがHSPではない親御さんにオススメです。もちろんHSPの親御さんにもオススメです。

教えて、明橋先生!何かほかの子と違う?HSCの育て方Q&A

4冊目は『教えて、明橋先生!何かほかの子と違うHSCの育て方Q&A』です。

こちらの本も明橋大二さんが書いています。

この本の特徴は、HSCの子育てについてQ&A形式で書かれていることです。

実際にHSCの子供を持つ親御さんから寄せられた質問に答えてあるので、共感できる箇所が多くあると思いますよ。

「子育てについてもっと具体的に知りたい!」という方はぜひ読んでみてくださいね。

まとめ|お子さんとまっすぐ向き合おう

この記事では

  • HSCとは
  • HSCの特徴
  • HSCとその親が抱える悩み
  • HSCへの接し方

をお話ししてきました。

HSCは「環境感受性が高い子供」を表すニュートラルな特性です。

刺激に敏感だと疲れやすいですが、環境次第で個性を大きく伸ばすこともできます。

お子さんとまっすぐ向き合って、ひとつだけの素敵な個性を輝かせてあげてくださいね。

最後までお読みいただきありがとうございました。


【参考文献】

  • 飯村周平.「Japan Sensitivity Research」.
    https://www.japansensitivityresearch.com/,(参照 2023-04-22).
  • Elaine N. Aron(翻訳:久保言史).「The Highly Sensitive Person」.
    http://hspjk.life.coocan.jp/index.html,(参照 2023-04-22).
  • 山本佳代子(2022).「敏感性の高い子どもの育ちへの支援」『西南学院大学 人間科学論集』17巻,2号.
    http://repository.seinan-gu.ac.jp/bitstream/handle/123456789/2240/hs-v17n2-p215-226-yam.pdf?sequence=1&isAllowed=y
  • 岩川祐依(2022).「日本における感覚の感受性に関する研究の動向 ──感覚処理感受性,及び Highly Sensitive Person の研究を中心に──」『甲南女子大学大学院論集』20号.
  • 池田真紀 兼板佳孝(2015).「睡眠と健康:思春期から青年期」『保健医療科学 特集:睡眠と健康―ライフステージとライフスタイル―』Vol.64,No.1.
    https://www.niph.go.jp/journal/data/64-1/201564010003.pdf
  • 串崎真志(2018).「高い敏感性をもつ子ども (Highly SensitiveChild) の理解 : 自閉症・高敏感者・エンパス・不登校」『関西大学人権問題研究室紀要』76巻.
    http://hdl.handle.net/10112/16393
  • 高橋靖子 野々部友香(2018).「母親の養育態度と乳児期の気質が幼児の不安傾向に及ぼす影響:家庭の雰囲気を媒介要因として」『Bulletin of Aichi Univ. of Education』67-1.
  • 渡辺弥生 石井睦子(2010)「乳幼児をもつ母親の育児ストレスにソーシャル・サポートおよび自己効力感が及ぼす影響について」.『法政大学文学部 法政大学文学部紀要』60号.
    https://core.ac.uk/download/pdf/223193806.pdf
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この記事を書いた人

小さい頃から感じていた生きづらさについて調べているとき、HSPに出会う。生きづらさを解消するためにできることはやってみようと考え、高校生で課外活動を始める。学校外で多種多様な生き方をする人と関わる中で「自分も好きなことに思いきり取り組みたい」「HSPさんが生きやすい社会を作りたい」と思うようになり、現在は自分が好きな「言葉」を使って少しずつ夢を実現するために活動中

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