不安を和らげる方法とは?自分でできる解消法を紹介

  • 「仕事を上手くできるか不安だな」
  • 「あの人に嫌われないか不安だな」
  • 「将来のことを考えるとなんとなく不安だな」

このような考えが頭をよぎったことはありませんか?

具体的なものや抽象的なものもありますが、
生きていくうえで『不安』は少なからず誰もが感じることだと思います。

また、不安に感じることや感じ方の大きさはとても個人差が大きいものです。

だからこそ、自分に合った『不安との向き合い方』を見つけていくことは、人生で大切なポイントとも言えます。

チルティ

今回は、公認心理師である筆者が、不安を感じる原因や、対処法について解説するよ!

不安の正体が少しわかって気持ちが楽になったり、
対処法が見つかって不安とうまく付き合えるようになったりしてもらえたらと思いますので、
ぜひ、最後まで読んでいただけると嬉しいです。

記事執筆者

公認心理師:田原直裕

 理学療法士として、施設、病院、区役所に従事したのち、各機関で学んだ医療・心理学・コミュニケーションの現場体験と知識を活かし、公認心理師の資格を取得。性格やメンタル、人間関係に悩みを抱える知人が多かったことから、現在は恋愛サポートや公認心理師としての活動も行なっている。

【保有資格】 理学療法士、公認心理師

→詳細なプロフィールはこちら

目次

不安を感じるのはなぜ?

チルティ

どうして不安を感じるのかな?

性格

「不安を感じやすい性格」を学問的に言うと、神経症傾向だとされています。

これはビッグファイブと呼ばれる人格次元の一つで、特徴としては、
日常の出来事を否定的に感じやすく、ちょっとした心配事への反応が強く長引きやすいなどがあります。

『症』という文字が使われていると病気のように感じられる方もいるかもしれませんが、神経症傾向はあくまで「度合い」を表しているため、診断名や病名とはまったく異なるものです。

チルティ

体でいうと、「太りやすい体質」と似ているかもね。

また、体質を変える方法として、『体質改善』もあるように性格も変えることができるとされています。

◇ビッグファイブとは?

ビッグファイブとは、性格の特徴を「開放性」・「誠実性」・「外向性」・「協調性」・「神経症傾向」の5つの傾向の強さで捉える考え方で、心理学で標準とされる分類の方法です。

性格をいくつかの「タイプ」に分けるのではなく、各傾向の強み弱みを段階で示し、個人の特徴を細やかに理解する時に用いられます。

ストレスがたまっている

ストレスがたまっている状態が長く続くと、心身への影響だけでなく、脳や体に変化を起こし、不安が増大することが報告されています。

ストレスにも種類があり、全てを避ければいいというものでもありませんが、
苦痛に感じるほどの辛さがあったり、心身に異変が生じたりするような場合は、過度なストレス状態だと考えられます。

チルティ

そもそもストレスは、危険に対応するための仕組みだから、心が発するサインとも言い換えられるよ。

そのため、不安を感じやすくなっている時は、性格や考え方などとは関係なく、ストレスが溜まっている可能性も考えられます。

自律神経が乱れている

心理学というより、生理学的な観点ですが、不安と自律神経調節の低下には関連があるとの報告があります。

つまり、自律神経の乱れや調節機能の低下は不安の要因となる可能性があります。

不安を感じやすい時は、もしかしたら、自律神経に何かしらのトラブルが起きている可能性もあります。

チルティ

自律神経のトラブルの要因は、心理的ストレスである場合も多いみたいだよ。

おすすめ|不安を解消するセルフケア

不安は、努力不足でも、心が弱いからでもありません。

上述の通り、感じ方のくせ(気質)や、たまったストレス、自律神経のバランスなど、さまざまな要因が重なって生まれます。

チルティ

ここからは、セルフケアをいくつか紹介するよ!

すぐにできるものもあるので、いくつか試してみて、ぜひ、自分に合う方法を見つけてもらえたらと思います。

深呼吸をしてみる

最も簡単な方法が深呼吸です。

経験したことがある方もいるかもしれませんが、不安な気持ちになると、呼吸は自然と浅く、速くなります。

反対に呼吸をゆっくりにすると、体を休ませる自律神経のはたらきが高まり、気持ちが落ち着きやすくなることが報告されています。

目安は1分間に6回程度。
鼻から4秒かけて吸い、6秒かけて口から吐きます。

深く吸おうと頑張らなくても、息を長く吐くだけで体は休みへ向かいます。

細かい方法よりもまずは「1分間、ゆっくりと呼吸する」ことから始めてみて、気持ちが落ち着く感覚を体感してみてください。

生活習慣の改善をする

生活習慣を整えることが心の健康に効果的であることはさまざまな研究で明らかになっており、一般的にも知られていることも多いかと思います。

特に睡眠リズム、運動、食事、飲酒はよく話題になるかと思います。

中でも特に不安との関連が強いとされているのが、運動習慣です。

運動習慣がある人は、そうでない人に比べて、不安になりにくいという報告があります。

激しいトレーニングである必要はまったくなく、階段を使う、昼休みに少し歩く、遠回りして帰るといった小さなことで構いません。

もちろん、睡眠リズムを整えることも同じくらい大切ですが、大事なのは、続けられることです。

気合を入れて大きな目標を掲げるより、「ちょっと頑張ってみようかな」くらいの気持ちで小さな努力を生活の一部に取り入れてみましょう。

チルティ

気負わず、焦らず、続けられる方法を探しながら試してみよう!

信頼できる人に話を聞いてもらう

不安を感じやすい方の中には、人に相談して不安を解消する前に、人に相談すること自体に不安を感じる方がいるのではないでしょうか?

その場合は人に自分の話をすることにも抵抗を感じているかと思います。

チルティ

長くそういった状態が続いているのであれば、何事も自分自身で解決してきたのかもしれないね。

もしかしたら、ストレス発散や気分転換も自己完結できるものを選んでいた方も少なくないかと思います。

しかし、ある研究では、信頼できる人と過ごして話を聞いてもらうことで、ストレスに関わるホルモンの上昇や、主観的な不安が抑えられ、気分転換以上に、心と体の両方のためのケアになると報告されています。

大事なのは、良いアドバイスをもらったり、解決したりすることではなく、
「わかってもらえる」経験そのものです。

誰かに聞いてもらうだけで、きっと悩みで積み重なった不安がスッと軽くなる感覚を味わえると思いますよ。

紙に感じていることを書き出す

頭の中でぐるぐると考えていると、悩みはどんどん膨らんでしまいます。

そんな時におすすめなのが、感じたことを紙に書き出す方法です。

つらい出来事について数日間、1日15〜20分書き続けた人は、その後の体調不良による受診回数が減ったという実験結果があり、書き出すことの良さは多くの研究でも確認されています。

チルティ

やり方はとても自由だよ!

文章をきれいに整える必要も、上手にまとめる必要もありません。
「今日はこんなことがあって、こう感じた」と残すだけで十分です。

書いたものを見せる必要も、読み返すルールもありません。
文字に起こすことで、頭の中のモヤモヤが「形のある問題」に変わります。

形が見えれば、対処法も見つけやすくなりますよ。

まずは一言、一行からでも始めてみると、少しずつその効果を実感できるかと思います。

リラックス効果のあるものを飲む

温かい飲み物を飲むとほっとする感覚を味わったことがある方もいるかと思います。

これは温度そのものが心を休ませてくれる作用の一例ですが、飲み物の成分にも不安に効果的だとされるものがいくつかあります。

例えば、軽〜中等度の不安を抱える方が、カモミール(カミツレ)成分の抽出物を8週間飲み続けたところ、不安の症状が和らいだという報告があります。

また、緑茶の旨味成分L-テアニンを摂った方が、ストレス関連の不調を軽くしたという報告もあります。

「これを飲めば治る」というものではなく、不安を感じた時のちょっとした対処法くらいの位置づけでとらえておくといいかもしれません。

また、睡眠リズムの話と重なりますが、寝つきが悪いと感じられる方は、午後にカフェインを控えることも一つの対処法です。

好きな音楽を聴く

音楽を聴くことも実は侮れません。

複数の研究をまとめた報告(メタ分析)では、音楽にはストレスの反応を和らげる力があり、その効果は気分の面だけでなく、ホルモンや心拍・血圧といった体の面でも確認されています。

つまり、好きな音楽を聴くのは心のケアとして、根拠のある方法と言えます。

音楽を聴くことに関してはかなり自由度が高いので、具体的な方法は記載しませんが、
もし、いつもと違う曲でリラックスする時間が欲しい方がいたら、テンポがゆっくりで、歌詞のない曲がおすすめです。

これらの特徴を持つ曲はリラックス効果が期待されるためよくおすすめされる音楽なので、取り入れてみるのもいいかと思います。

頑張りすぎない予定を立てる

完璧を求めすぎる傾向(完璧主義)は、不安と強く関わることが示されています。

予定をぎっしり詰めて、達成できないことに不安を抱えたり、自分を責めたりしてしまいがちです。

一方で、ある研究では、達成が難しくなった目標を手放せる人は、ストレスが少なく、心の健康も良好な傾向があると報告されています。

つまり「頑張りすぎない」のは手抜きではなく、心を守るための大切なスキルとして考えてみましょう。

チルティ

それでも計画を立て直すことに抵抗があるのであれば、60~80%程度の力で達成できる計画を立ててみよう!

余白のある計画は、完璧な計画よりも、自分のためになるはずです。

セルフケアだと難しい場合は病院の受診も目安に

ここまで紹介したセルフケアは、不安と上手につきあうための方法です。

今回ご紹介した方法の中から自分に合う方法を見つけることができたら、不安に苦しむことは少なると考えられます。

しかし、あくまで対処法なので、全てが解決するわけではありません。

例えば、自律神経に著しい問題が生じていたり、あまりにも心が疲れてしまっていたりする時などは、自分自身ではどうにもならないことがあると思います。

そのような場合には、一人で抱え込まず、専門医への受診をおすすめします。

不安のつらさに対する効果が確かめられた治療があります。

その代表が認知行動療法という心理療法で、多くの研究をまとめた結果、不安症のつらさを大きく和らげることが報告されています。

一方で、不安を抱えながらも受診までに長い時間がかかっているという調査もあります。

「まだ大丈夫」「もう少し頑張れるはず」と我慢するうちに、つらさは静かに重くなっていきます。

不安があまりにも消えなかったり、心身に異変を感じたりして私生活に支障が出ている時は迷わず受診するように心掛けましょう。

まとめ|「不安」と上手に付き合おう!

「不安」は誰もが感じる人間にとって当たり前の感情の一つです。
そのため、不安を感じることは悪いことではありません。

ただ、以前は気にならなかったことに不安を感じたり、同じ出来事に対して自分だけが不安に感じたりしていたら、少し不安に感じやすい状態かもしれません。

もちろん、その状態自体も悪いことではありません。

重要なのは不安を感じやすい状態に気づくことと、自分を責めないことです。

そして、心当たりのある方はぜひ、不安の対処法を身につけてください。

何か一つでも自分に合う対処法が見つかれば、きっと、これからの人生で役に立つはずです。

しかし、不安が大きすぎて自分自身ではどうしようもなかったり、心身に異変を感じていたりするようなことがあれば、速やかに受診するようにしましょう。

本記事が少しでも皆様の人生に役立てば嬉しいです。
最後まで読んでいただき、ありがとうございました。

【参考文献】
・Barlow, D. H., Sauer-Zavala, S., Carl, J. R., Bullis, J. R., & Ellard, K. K. (2014). The nature, diagnosis, and treatment of neuroticism: Back to the future. Clinical Psychological Science, 2(3), 344–365.
・Chalmers, J. A., Quintana, D. S., Abbott, M. J.-A., & Kemp, A. H. (2014). Anxiety disorders are associated with reduced heart rate variability: A meta-analysis. Frontiers in Psychiatry, 5, Article 80.
・Zaccaro, A., Piarulli, A., Laurino, M., Garbella, E., Menicucci, D., Neri, B., & Gemignani, A. (2018). How breath-control can change your life: A systematic review on psycho-physiological correlates of slow breathing. Frontiers in Human Neuroscience, 12, Article 353.
・McEwen, B. S. (2017). Neurobiological and systemic effects of chronic stress. Chronic Stress, 1, Article 2470547017692328.
・Amsterdam, J. D., Li, Y., Soeller, I., Rockwell, K., Mao, J. J., & Shults, J. (2009). A randomized, double-blind, placebo-controlled trial of oral Matricaria recutita (chamomile) extract therapy for generalized anxiety disorder. Journal of Clinical Psychopharmacology, 29(4), 378–382.
・de Witte, M., Spruit, A., van Hooren, S., Moonen, X., & Stams, G.-J. (2020). Effects of music interventions on stress-related outcomes: A systematic review and two meta-analyses. Health Psychology Review, 14(2), 294–324.
・Hofmann, S. G., & Smits, J. A. J. (2008). Cognitive-behavioral therapy for adult anxiety disorders: A meta-analysis of randomized placebo-controlled trials. The Journal of Clinical Psychiatry, 69(4), 621–632.


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記事執筆者

公認心理師:田原直裕

 理学療法士として、施設、病院、区役所に従事したのち、各機関で学んだ医療・心理学・コミュニケーションの現場体験と知識を活かし、公認心理師の資格を取得。性格やメンタル、人間関係に悩みを抱える知人が多かったことから、現在は恋愛サポートや公認心理師としての活動も行なっている。

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