「お腹が空いたから、ご飯を食べる」
このように体のサインに対して、対処をすることは、誰もが日常的に行っていると思います。
他にも、疲れたから休む、眠いから寝る、肩がこるからほぐすなど、体のことをいたわるために、自分で対処をすることはたくさんあると思います。
チルティこれと同じことを心に対しても行うことが、メンタルセルフケアだよ。
今回は公認心理師である筆者が、メンタルセルフケアについて解説しますので、ぜひ最後まで読んでいただけると嬉しいです。
記事執筆者


公認心理師:田原直裕
理学療法士として、施設、病院、区役所に従事したのち、各機関で学んだ医療・心理学・コミュニケーションの現場体験と知識を活かし、公認心理師の資格を取得。性格やメンタル、人間関係に悩みを抱える知人が多かったことから、現在は恋愛サポートや公認心理師としての活動も行なっている。
【保有資格】 理学療法士、公認心理師
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メンタルセルフケアとは?
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体をいたわる時、私たちは無意識に、
「体のサインに気づく」
↓
「サインに気づいて対処をする」
という段階をとっています。
心も同様です。
「自分のこころの状態に気づく」
↓
「気づいたら小さな対処をする」
この繰り返しです。
特別な資格や技術は必要ありません。



「自分をいたわろうとする気持ち」が何より大切だよ。
メンタルセルフケアにはどんな効果があるの?


メンタルセルフケアにはさまざまな手段があり、効果も多岐にわたります。
今回は代表的な効果をご紹介します。
なお、これらの効果には関連性もあるので、その点も踏まえて解説します。
①ストレスの軽減につながる
よく「ストレスがたまる」と言いますが、まさにその通りで、ストレスは対処しないとどんどんたまってしまいます。
そのため、ストレスを感じたらすぐに対処していく必要があります。
ストレスに気づき、すぐに対処する循環を作ることができれば、長期的なストレスを軽減できると考えられます。
②パフォーマンスの向上につながる
近年、「プレゼンティーイズム」と呼ばれる状態が問題視されています。
これは出勤しているのに本来の力を出せない状態のことで、
ストレスにより心身のエネルギーが枯渇した結果、目の前の仕事への集中力・判断力・活力が落ちるとされています。
③メンタル不調の予防につながる
適度にメンタルセルフケアに取り組むことで、ストレスの蓄積を防ぐことが期待されます。
そうすることで、ストレスがたまることによる心身の不調の予防にもなります。
厚生労働省はメンタルヘルス対策を、
- 一次予防(不調を未然に防ぐ)
- 二次予防(不調を早期に発見し対応する)
- 三次予防(不調からの回復を支える)
の3段階だとしています。



メンタルセルフケアはこのうち、一次予防と二次予防の入り口にあたるよ。
リスクや注意点はある?





メンタルセルフケアのリスクや注意点はあるのかな?
ここでは、メンタルセルフケアのリスクや注意点について解説します。
①自分に合う方法を選ぶ
例えば、
- 少し疲れているときは早めに休む
- 気持ちを書き出してみる
- 軽く体を動かしてみる
- 安心できる人に話してみる
などです。



最初は「今日はこれを一つだけやってみる」くらいでもOK!
メンタルセルフケアは、自分の心や体の状態に気づき、早めに整えるために役立ちますが、やり方やタイミングによっては、かえって負担になることもあります。
例えば、無理に前向きになろうとしたり、つらい気持ちを押し込めたまま笑顔を作ろうとしたりすると、余計に苦しくなる場合があります。
また、強い不安や落ち込みがあるときに、一人で何とかしようと頑張りすぎると、疲れ切ってしまうこともあります。
②一人でなんでも解決しようとしない
メンタルヘルスケアに慣れてくると、自分で解決できることが増えてきて、それ自体は喜ばしい変化だと思いますが、逆に、「一人で抱え込む」状態になりやすいともいえるため、気を付けておく必要があります。
- つらい気持ちが長く続く
- 眠れない
- 食欲がない
- 何もする気が起きない
- 自分を傷つけたい気持ちがある
など、心身に異変が生じるような場合は、苦痛を伴うため、一人で行わない方がいいこともあります。
おすすめ|メンタルセルフケアの具体例





ここでは、おすすめのメンタルセルフケアの具体例を紹介するよ。
①ストレッチや軽い運動をしてみる
無理のない範囲で、ストレッチや軽い運動をしてみましょう。
例えば、
- 朝起きたときに肩や背中をゆっくり伸ばす
- 家のまわりを10分ほど歩く
- 階段を使ってみる
- 座りっぱなしにならないように、時々立ち上がる
などです。



最初は「少し体を動かしてみる」くらいの気持ちでOK!
体を動かすと、こわばっていた筋肉がほぐれたり、気分転換になったりして、心の緊張がやわらぐことがあります。
ただし、体調がすぐれないときや持病がある場合は、無理をせず、自分の体の状態に合わせて行うことが大切です。
②質のいい睡眠をとる
できるだけ、質のいい睡眠をとれるように意識してみましょう。
例えば、
- 寝る時間と起きる時間をなるべくそろえる
- 寝る前にスマートフォンを見る時間を短くする
- カフェインやお酒をとりすぎないようにする
- 眠る前に部屋の明かりを少し暗くする
などです。



「いつもより15分、早く寝る」など、小さな工夫からでもいいかも。
睡眠が整ってくると、心と体の緊張がやわらぎ、気分の落ち込みやイライラ、不安などを感じにくくなることがあります。
ただし、十分に休もうとしているのに眠れない日が長く続いたり、途中で何度も目が覚めたり、日中の生活に支障が出るほど強い眠気やだるさがある場合は、しっかりとした治療が必要となる可能性もあります。
その場合は、医療機関や専門家に相談した方がいいかもしれません。
③今の気持ちを紙に書き出してみる
自分が感じていることや考えていることを紙に書き出してみましょう。
例えば、
- 〇〇してもらって嬉しい
- 〇〇と言われて悲しい
- 〇〇できなくてモヤモヤする
などです。



「嬉しい」、「悲しい」などの感情部分だけでも書いてみるといいかも!
自分が感じていることや考えていることを書き出した紙を見ると、自分の心や頭の中にあったものを客観的に捉えることができます。
あまり間隔を空けず、継続的に取り組むことで、ネガティブな感情やストレスを低下させるとの研究報告もあるため、日常的に行っていくことがおすすめです。
ただし、あまりにも強いトラウマなどを思い出すことで、つらくなってしまうようであれば、無理に一人で行わない方がいい場合もあるので注意が必要です。
例えば、「〇〇さん、仕事の相談にのってくれてありがとう。」のような形です。
コツは、少し具体的に書くことで、自分の感情や、何に対して感謝しているのかを書き出していくことです。
感謝日記には幸福感の改善、ネガティブ感情・ストレス・不安の低減にも有効との研究報告もあります。
④趣味に没頭してみる
自分が「好きだな」「楽しいな」と思える趣味に、少しだけ没頭してみましょう。
例えば、
- 音楽を聴く
- 絵を描く
- 編み物をする
- 本を読む
- 料理をする
- ゲームをする
- 植物の世話をする
などです。



「上手にやること」よりも、「少し気がまぎれる」「やっている間は余計なことを考えずにいられる」と感じられるものからでOK!
趣味に集中している時間は、頭の中が仕事や悩みから少し離れやすくなり、気持ちが切り替わることがあります。
また、楽しめる活動を日常的に持っていることが、ストレスの軽減や気分の安定、幸福感の向上につながると言われているため、意識的にそうした時間をつくっていくことがおすすめです。
もし、趣味を見つけようとしている段階であれば、SNSで注目を浴びることや、人から称賛されるかどうかは一旦、無視して考えてみるといいと思います。
ただし、「やらなければならない趣味」になってしまったり、うまくできないことに強いプレッシャーを感じたりすると、かえって疲れてしまうこともあります。
自分を追い込まず、「やりたいだけできれば十分」と考えることが大切です。
⑤意識して笑ってみる
少し気持ちに余裕があるときには、意識して笑ってみるのも一つの方法です。
例えば、
- 好きな動画やお笑いを見る
- 気の合う人と話す
- 鏡を見ながら口角を少し上げてみる
- かわいいものやほっとするものに触れる
などです。



最初は「心から楽しくなくても、少し表情をやわらかくしてみる」くらいでも大丈夫だよ。
笑顔になると、気持ちが少しほぐれたり、体の緊張がやわらいだりして、ストレスが軽くなることがあります。
また、意識して笑顔をつくることで幸福感が増すとの研究報告もあります。
ただし、つらい気持ちが強いときに無理に笑おうとすると、かえって苦しく感じる場合もあります。
「笑えない自分はだめだ」と思う必要はまったくありません。
まとめ|心もメンテナンスしてストレスと上手に付き合おう
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生きていくうえで、ストレスを完全にゼロにすることはできないと思います。
そのため、ストレスとはうまく付き合っていくしかないと思います。
メンタルセルフケアは自分の心をいたわろうとする気持ちから始まります。
これは以前、お話ししたセルフコンパッションにも通じる考え方です。


体力が人それぞれ違うように、心の状態やストレス・疲れの感じ方も人それぞれ違います。
同じようにストレスの対処法も人それぞれです。
既に自分なりのストレス解消法をお持ちの方はそれも続けていいと思います。
本記事が一人でも多くの方の心の助けとなれたら嬉しいです。
【参考文献】
・厚生労働省. 労働者の心の健康の保持増進のための指針について. 2006-03-31. https://www.mhlw.go.jp/houdou/2006/03/h0331-1.html
・古井 祐司, 村松 賢治, 井出 博生. 中小企業における労働生産性の損失とその影響要因. 日本労働研究雑誌. 2018;60(6):49-61.
・Noetel M, Sanders T, Gallardo-Gómez D, Taylor P, Del Pozo Cruz B, van den Hoek D, et al. Effect of exercise for depression: Systematic review and network meta-analysis of randomised controlled trials. BMJ. 2024;384:e075847.
・Scott AJ, Webb TL, Martyn-St James M, Rowse G, Weich S. Improving sleep quality leads to better mental health: A meta-analysis of randomised controlled trials. Sleep Medicine Reviews. 2021;60:101556.
・Guo L. The delayed, durable effect of expressive writing on depression, anxiety and stress: A meta-analytic review of studies with long-term follow-ups. British Journal of Clinical Psychology. 2023;62(1):272-297.
・Tolcher K, Cauble M, Downs A. Evaluating the effects of gratitude interventions on college student well-being. Journal of American College Health. 2024;72(5):1321-1325.
・Pressman SD, Matthews KA, Cohen S, et al. Association of enjoyable leisure activities with psychological and physical well-being. Psychosomatic Medicine. 2009;71(7):725-732.
・Coles NA, Larsen JT, Lench HC. A meta-analysis of the facial feedback literature: Effects of facial feedback on emotional experience are small and variable. Psychological Bulletin. 2019;145(6):610-651.
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記事執筆者


公認心理師:田原直裕
理学療法士として、施設、病院、区役所に従事したのち、各機関で学んだ医療・心理学・コミュニケーションの現場体験と知識を活かし、公認心理師の資格を取得。性格やメンタル、人間関係に悩みを抱える知人が多かったことから、現在は恋愛サポートや公認心理師としての活動も行なっている。
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